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修了生の繋がり

Project 180を修了した次代リーダーは46名、県外パートナーは64名。4年間で総勢100名を超えました。修了生同士の繋がりは、期を超え、熊本も超えていきます。

ここでは4年目に開催した180サミット(交流会)の様子と、各方面で活躍する県外パートナーの声をご紹介します。

180サミットの開催Summit

第4期の初回の集合研修を終えた翌日、2021年9月20日に「180サミット」と題したイベントを開催しました。現地には26名、オンラインでは20名の方々にご参加いただき、修了生同士が期を超えて交流する機会となりました。

前半では3つのチームが登壇し、当時の様子を振り返りながら、現在の活動へどのように繋がっているかをお話しいただきました。後半からは、参加者同士が自由に交流し、懐かしい思い出や近況を語り、新しい出会いも生まれました。
その裏では、オンライン参加したメンターの若林恵氏とディレクターの田村大がトークを繰り広げ、オンライン参加の方々にも楽しんでいただくことができました。当日の詳しい様子は180サミットレポートをご覧ください。

県外パートナーの声Voice

第1期 冨坂建設チーム
鈴木由香里 さん

Project 180に参加する以前から、地域への関心を高めていたという鈴木さん。鹿児島でのプロボノ活動を経て、縁のあった熊本へ。180終了後は福岡へと移住し、県外パートナーとしてだけでなく、3期と4期ではファシリテーターも務めてくださいました。参加のきっかけや地域の魅力、そして、1期の頃から変わらない”180らしさ”とは何かを伺いました。

正解ではなく、先が見えない世界を想像する

もともと、地域やそこで活動している人たちに興味があったんですか?

私は東京生まれの東京育ちなので、180のような地域を舞台にした活動にはじめから積極的だったわけではありませんでした。2013年頃に仕事の関係で地域と関わり始めて、人間力が高い人の多さに驚いて「地方って面白い」と感じたんです。父親が熊本出身だったことと、地方移住を考えていた時にちょうど180を知って、参加を決めました。

次代リーダーは副社長の方でしたが、経営者と同じチームを組んでみていかがでしたか?

経営者自身が描く未来を、私たちも常に確認しながら議論を進められました。鹿児島でプロボノ活動をしていた頃は、東京のメンバーでチームを組んで、コーディネーターを通して地域の実践者に提案するという形だったので、時間のコストがかかってしまいました。180にはスピード感があって、考えのズレも適宜修正しながらできたのが良かったですね。

プログラムの内容やメンター陣との関わりについて、期ごとの変化などはありましたか?

4期では、初回の研修からパーパスの話がありましたが、1期の頃はどちらかと言えば、企業の歴史やアセットの掘り起こしに力を入れていたと思います。メンターの皆さんの存在が、私が参加を決めたきっかけの一つでもあります。それぞれ違った視点からアドバイスをくれて、議論にもフラットに関わってくれる。そんな180の雰囲気は、他にない魅力ではないでしょうか。

第1期 くまもと☆農家ハンターチーム
折茂彰宏 さん

くまもと☆農家ハンターチームの活動は、のちにグッドデザイン賞を受賞し、メディアにも取り上げられて大きな反響を呼びました。180サミットにご登壇頂き、チームメンバーとは今でも継続的な関わりがあるという折茂さん。Project 180 終了後には会社を退職して独立。佐賀県に拠点をつくり、積極的に地域との関わりを深めるまでのお話しを伺いました。

溢れる情熱を受け止め、形にしていく

初回の研修では、宮川さん自身が180で何をしたいか、悩んでいらしたそうですね。

はい。家業の宮川洋蘭と、くまもと☆農家ハンターのどちらで進めていくかの議論から始めました。県外パートナーとして、宮川さんが情熱を向ける方向に旗を立て、一つずつ言葉にしていく作業では、仕事で培ってきた力が発揮できたと思います。やりたいことと情熱に溢れる宮川さんとチームを組めたことが、なによりも面白かったですね。

2021年に開催した180サミットにもお越しいただきましたが、熊本はいつぶりでしたか?

仕事で何度か行きましたが、宮川さんのいる戸馳島に行ったのは1期への参加以来でした。サミットへの参加を宮川さんに伝えると島に誘ってくれて、釣りをしながら次なる構想を聞かせてくれました。2019年にくまもと☆農家ハンターがグッドデザイン賞を受賞したときや、宮川さんが東京に来られたときは一緒に食事をして、今でもお互い連絡しています。

2020年に独立されたそうですが、180を通してご自身にどういった変化がありましたか?

縁あって佐賀に会社を作り「みちコーラ」というクラフトコーラのブランドディレクターをしています。その支援を一番最初にしてくださったのが宮川さんなんです。感動してちょっと泣きましたよ。地域の農家さんから相談されることも増えてきて、「情熱のある人の背中を押す」という180で確信した仕事の軸は、今もしっかりと自分の中に根付いています。

第2期 利他フーズチーム
小牧弘和 さん

Project 180の参加当時はモノづくりの企業に勤め、社内外とのコミュニケーションを担っていた小牧さん。多様な分野に興味を持ち、幅広い知識を活かしてキャリアを切り開くため、180を修了した数年後には転職。180サミットにも登壇して頂きました。根底にある意識を”生存戦略”と表現する小牧さんに、チームの活動やご自身の変化について伺いました。

キャリアを重ねるほどに見えてくる生存戦略

180は熊本という地方でのプログラムでしたが、どんな思いで参加されましたか?

出身の神奈川県や、働く場所にこだわりはないのですが、地の利を活かしたビジネスに興味がありました。当時、新規事業立ち上げのプロジェクトチームに所属していたこともあり、すぐに180への参加を決めました。地方の企業はおっとりしたイメージがあったのですが、チームを組んだ利他フーズはとても野心的でスピード感があり、学ぶことが多かったです。

特に印象に残っていることやチームのエピソード、ご自身の役割について教えて下さい。

新規事業というと”先進的”で”大規模”な展開を目指しがちです。180は、地域の豊富な資源をどう活かすかにフォーカスしていて、その重要性に改めて気付きました。チームのお二人とは今でも交流していて、利他フーズの猪本さんからは社内勉強会のゲスト講師として招待頂きました。2年ぶりの熊本は「帰ってきたな」という感じで、居心地が良かったですね。

180修了後は転職されたそうですが、今までのキャリアや仕事観についても教えて下さい。

大学ではがん細胞の研究をしていたのですが、敢えて畑の違うモノづくりの会社に就職しました。180修了後はIT系のベンチャーに転職し、今はモノづくりのベンチャーで働いています。180でチームを組んだお二人に勢いがあったので、自分は引いた視点を意識するなど、キャリアを通して違った役割を見つけて進むことが私の生存戦略なのかも知れません。

第2期 コムラ苗樹チーム
横手綾美 さん

大学で勉強した建築や設計の知識を活かせる会社に就職して16年、楽しく仕事を続けてきたという横手さん。しかし、心のどこかで現状や将来に迷いも感じていたそう。そんな時にProject 180への参加を決意し、林業の会社とチームを組み、都会と地方が交流しながら森を守るプランを提案。当時の思いや、その後に起きたご自身の変化について伺いました。

多様な考えと人に触れて自分自身を開いていく

180への参加を通して得た気付きや、ご自身の変化について教えて下さい。

メンターの若林さんから「あなたたちの会社は何のために存在しているのか?」と言われたのが何よりも衝撃的でした。日々、顧客に価値を提供することは考えていましたが、会社はその提供価値の集合体に留まらないことに気付かされたんです。私が働く会社は、社会に対して何をしていくのかに興味が移り、希望した部署に異動したことが一番の変化ですね。

都会と地方を結ぶプランを提案されていましたが、どのような難しさがありましたか?

ずっと都市圏で生活してきたので、地域特有の価値観や働き方に関心がありました。チームでの議論を通して、補助金で森を伐採する林業の実態を知り、事業の存在意義について結構悩みました。最終的には、地方の一部の人だけで森を管理せざるをえない状況を変え、皆が責任を持って森を育てるという、納得のいくプランを提案できたと思います。

今は会社に勤めながら副業もされていて、パワフルに働いていらっしゃいますよね。

実は、180に参加を決めた頃、この先何をしていこうか迷っていたんです。だからこそ、他の参加者の多様な考えに触れたことが、前に進むきっかけになりました。今は、キャリアに迷いがあった頃に比べると仕事に納得感を持って取り組めています。副業を始めたことで、社内でも新たなチャンスがもらえて、大きな相乗効果を感じています。

第3期 レイメイ藤井チーム
第4期 藍の村観光チーム
岸本啓佑 さん

3期と4期にご参加頂いた岸本さん。不動産やまちづくりという一貫した興味・関心をもとに、オンラインのみでの参加を感じさせずにチームを牽引されていました。3期では文具・事務機メーカーによる交流拠点、4期では観光地でのワーケーション施設の計画。地域や人に目を向ける両チームでの活動を通して、何を感じたのかを伺いました。

困難を走り終えた経験は必ず自信になる

普段は東京で仕事をされていますが、Project180に参加したきっかけを教えて頂けますか?

不動産業界で商業施設やオフィスビルなどを担当する中で、「関係人口」という言葉が聞かれだした頃に会社とは別で長野のプロジェクトに関わり、地方の魅力に気付きました。3期でチームを組んだレイメイ藤井さんは、当時、本社を建て替える計画の中でコワーキングスペースの活用を考えていると知って、自分のスキルを活かせると思い、参加を決めました。

3期と4期に参加してみて、ご自身にとって何が一番の学びでしたか?

はじめは、不動産の視点でコンサルタントのような立場で関わるのかと思っていましたが、早々にそうではないと気付きました。レイメイ藤井チームの次代リーダーのお二人は、会社を代表してご参加されていらっしゃったのですが、とても優秀で学ぶことばかりでした。
4期では、藍の村観光の経営者である藤川さんの行動力や世界観に圧倒されて、自分に欠けていた発想に気付くことができました。

最後に、2年連続参加の岸本さんから、180に対する思いや感想を聞かせて頂けますか?

仕事柄、短期間で少人数で取り組むプロジェクトの経験は多いと思います。だからこそ、熊本企業と県外パートナーが初対面で取り組む、180のようなプログラムは誰にでもできることじゃないという感覚があり、2年通して走り終えた今は自信に繋がっています。今後は、自分がメインプレイヤーなら何がしたいのかという視点でも仕事を続けていきたいですね。

第4期 實取耕房チーム
黒住奈生 さん

新卒の1年目でProject 180にご参加頂いた黒住さん。最終発表会では、彼女のまとめたアイデアに参加者もメンターも絶賛していました。駆け出しのマーケッターで、会社とは違った環境ではじめは不安だったそうですが、変化が訪れるきっかけはあったのでしょうか?180を終えて、プログラムを振り返りながら今の心境を伺いました。

到達点を越えてこれまでの自分から脱却する

大絶賛を受けた事業アイデアについて、ご自身ではどう感じていらっしゃいますか?

プレゼン当日は、こんなに褒めてもらっていいのかと正直驚きました。事業化するにあたっては、私が一番の素人です。これから、より一層腰を据えてやっていくには不安もありますが、踏ん張りどころだとも思います。なによりも、實取さんにとって意味のあるプランにできたのが嬉しくて、聞いてくださった皆さんの共感も得られて、とても良い経験でした。

メンターの若林さんが「覚醒した」とおっしゃってましたが、何か転機はありましたか?

自分としてはプログラム中に何かが変わったとは感じていませんが、同じチームの佐々木さんからは、2回目の集合研修でスイッチが入ったと言われましたね。覚醒なんて言われたのは初めてですが、嬉しいです。實取耕房の拠点である菊池市を訪れたことも、自分の中で實取さんの考えに近づけるきっかけになったと思います。

最後に、180と通して自身が変化したこと、これからの目標などがあれば教えて下さい。

成長の機会を得たと同時に、自己肯定感を高めるきっかけにもなりました。これまでは、夢と希望がある人の右腕のような存在が自分にとって一番納まりが良いと感じていましたが、そこから脱却することも必要かもしれないと感じています。まずは180で考えた事業アイデアを形にし、いずれは地元である岡山や地方でも仕事をつくっていきたいです。

第1期 オジックテクノロジーズチーム
川原田大地 さん

毎回の議論が非常に刺激的で、少人数だからこそのスピードとスクラップ&ビルドから生まれる発見が多く、大変有意義な時間でした。チームメンバーの2人とは、今も不定期で情報交換や議論を続けており、180を通して築けた関係は、私にとって非常に大きな財産になっています。

第2期 コムラ苗樹チーム
大橋まり さん

今まで接することがなかった方々と話すことで、デザイナーとしてではない関わり方ができてとても有意義でした。月に一度現地に行き、チームでじっくり頭を悩ませることがリフレッシュにもなっていました。180での経験が、今の考え方や働き方にも良い影響を与えてくれています。

第2期 サンワイーテックチーム
中村浩之 さん

新規事業を検討するプロセスを実践的に体験できる、非常に刺激的なプログラムでした。中小企業の事業環境や意思決定速度を肌で感じられ、熊本という土地の可能性や魅力も再発見できる、非常に良い経験となりました。

第2期 熊本日日新聞社チーム
S.Y. さん

コンサルタントや委託業者としてではなく、未来の会社のあり方や中核事業を考える機会に魅力を感じて参加しました。地域と深く繋がるメディアには可能性を感じると同時に、新規事業を構想する難しさを実感しました。今でも特別感がある熊本、進化する熊日を応援しています。

第3期 クマモト敬和チーム
岡本拓 さん

経営者の目線に立つ経験を通して、自身のキャリアを考えるきっかけになりました。顧客視点だけでなく、経営者目線で売り上げを見通し、既存事業との兼ね合いを考え、どのように新しい事業を両立していくのか。微かなインサイトに確信を持ち、進んでいく彼らの背中から多くを学びました。

第3期 ヤマチクチーム
平尾元 さん

熱量のある企業が多く、新規事業に前向きな姿勢がとても印象的でした。「何から実践すべきか、答えは一つではないけど先ずはやってみる。少しずつ改善し、努力し続けていけば、道が開ける」。そんな気付きを得たプログラムでした。参加された全ての熊本企業の今後が楽しみです!

第4期 藍の村観光チーム
河村統治郎 さん

経営者ならではの視点に加えて、パーパスや事業ビジョンなどの考え方を知ることができました。本気でビジネスを考える機会も普段は少ないため、良い機会になりました。今回の気付きは、MBAを取得する中で磨き、将来の起業に向けて役立てたいと思います。

第4期 アドシンチーム
池村竜也 さん

パーパスを定めるのは比較的新しい動きで、あまり事例も公開されていなかったため難しかったと同時に、非常に面白い経験でした。今後は様々な地域と関わっていきたいと思っているので、180での経験を、地域ならではの事業や企画のコンセプトづくりなどに活かしていきたいです。

第4期 テンジンチーム
常盤匡史 さん

自社と異なる事業や課題、リソースのもとで新規事業の検討を行うことで、自身の仕事の幅が広がりました。また、立場や経験、職種が異なるチームで検討することで、新たな視点も得ることができ、とても有意義なプロジェクトでした。