Reports

レポート

第4期の集合研修①を実施しました!

9月17~19日の3日間をかけた、第4期の集合研修①が無事終わりました!研修を終える頃には、参加者それぞれがProject180への士気を高めるとともに、約4ヶ月にわたる刺激的なプログラムの始まりを感じていただけたのではないでしょうか。

初日は簡単な自己紹介の後、さっそく企業理解ツアーで天草へ。向かったのは今期の熊本参加企業の1つ「藍の村観光株式会社」が手掛ける観光施設です。

1990年にオープンした物産館「藍のあまくさ村」では藍の村観光の歴史をご紹介頂き、一行は2015年に新しくオープンした「リゾラテラス」へ。道中では計画中のワーケーションリゾート建設予定地を視察しました。リゾラテラスの自社農園では野菜や果物を育てられていて、レストランで頂くことができます。

衣料品店として創業し、観光業へと移行していった藍の村観光株式会社。時代の先頭を駆け抜けてきた歴史を現場で感じ、コロナ禍を受けて既に新しい観光の形を模索されている姿に、参加者は刺激を受けたことかと思います。

初日は企業理解ツアーで終了し、2日目からはいよいよ研修開始。まずは各企業のプレゼンからスタートです。3名のメンターから叱咤激励を受けて、思わずひるんでしまった方もいたかもしれません。しかしメンターからの指摘やアドバイスは、決して新規事業の創出だけに関わることではありません。

会社や事業、個人の想いを見つめ、問い続ける。多くの方が事業や仕事そのものに対して「なぜやるのか」という根本的な問い、会社の存在意義を突きつけられました。加えて、第4期は例年にも増して経営者自身の参加が多い事が特徴です。毎日接している会社や事業について改めて真正面から向かい合い、当たり前を疑う。容易ではありませんが、どのチームも真剣に話し合い、ときにはカウンセリングのような場面も。

企業プレゼンでは事業内容や自社の強みなどをご説明頂き、社会的な課題に即して、今後どのような新規事業の展開を考えているのかをお話頂きました。そこでメンターの若林さんから一言。

「社会課題をどうにかする方法は2つしかない。DXとSX。デジタル(D)とサステナビリティ(S)への転換。通底するキーワードはインクルージョン。つまり人権なんだよ」

誰一人取り残さないこと。それはSDGsの基本理念でもあります。株主至上主義だった近代の当たり前から大きく舵を切る。目を向けなければならないのは、これまで目を向けてこなかった人、未来のステークホルダーたちです。目に付きやすい部分、例えば大口の仕入先や創業時から付き合いのある顧客などはもちろん大切です。しかし、インクルージョンの観点では、これまで意識してこなかった人たち、彼らが属するコミュニティにまで目を向けることが必要であることを痛感した一言でした。

顧客とは、従業員やサプライヤと並ぶステークホルダーのカテゴリでしかありません。Project180が目指す新規事業創出のためには、その解像度を上げ、企業に固有のステークホルダーをあぶり出す必要があります。それはフランクに言えばよく飲みに行く相手、そこで交わされた会話が糸口になるかもしれません。顧客以上の関係性がある顧客、商売の外で関わる人を中心に会社を考えてみる。例えば、ビジネスパーソンと一口にいっても、そこには女性や主婦/主夫だって考えられる。今の当たり前ではなくて、未来を見据える。学生でもビジネスを始められる環境は既に整っているように、社会の当たり前は常にアップデートされています。

「ステークホルダーを洗い出すというのは、全部書き出せってこと。選んでたらキャピタリズムと何も変わらない」

研修3日目、メンターから県外パートナーに対する厳しい一言。企業にとっての顧客、ステークホルダーは中の人にとっては気付きづらい存在です。しかし、だからこそProject180には県外パートナーがいます。見落としがちなこと、人を見つめ直し、新規事業への糸口を見つける。外からの働きかけによって企業を活性化する役目を担う県外パートナーの皆さんには、自身の役割をより明確にして頂けたのではないでしょうか。

  • リアルの良さを強調するのはデジタルへのカウンターでしかない。2項対立からの脱却。
  • ユーザーはもはや受動的な存在ではない。いかにアクションを誘発するかがキーとなる。
  • エンドユーザーのデバイスはPCではなくほぼスマホ。スマホ最適化がDXへの最短経路。

核心をつく、メンター陣からの数々の言葉にハッとさせられた3日間。身が引き締まります。

クリエイター・エコノミー、コレクティブ・アクション、コンピテンシーなど、業種によっては、普段の仕事ではなかなか耳にしない言葉の数々。混乱してしまうかもしれません。しかし、普段とは違った環境に身を置き、他者の意見、言葉にじっくりと耳を傾けることができる環境もProject180の特徴です。

人権と搾取。これらもまた、一見新規事業の創出とはやや距離がありそうな言葉でありながら、今回の研修では全ての参加者にとって印象に残った言葉だったと思います。昨今取り上げられることが多いESGにおけるS(社会)の部分であり、日本は海外と比べると議論が少ないそう。人種問題にさらされてこなかった日本の歴史を考えると、ある程度しょうがないのかもしれません。

しかし、それは搾取されていない人がいないことにはなりません。搾取とは強い言葉ですが、その意味するところ、日常における問題は至るところに潜んでいます。まずはステークホルダーを全て洗い出し、その全てに対して搾取をしていないか。適正な取引を行っているか。これまで見過ごしてきた一つ一つを丁寧にすくい取り、誰を同じ船に乗せて、会社を前に進めるかを考える必要があります。

今回の集合研修①は現地とオンラインを組み合わせたハイブリッドでの開催でしたが、次回の研修は10月9日(土)、全てオンラインです。企業の棚卸しやステークホルダーの洗い出しと特定、マテリアリティの設定など、今回の研修で時間内に終わらなかった部分についてはそれぞれのチームで引き続き取り組んで頂きます。研修終了後、すぐに次回ミーティングをセッティングしているチームもあり、どの企業、県外パートナーも気合十分。

Projectの第4期はまだまだ始まったばかりです。熱い思いと勢いはそのままに、各チーム全速力でこの4ヶ月を駆け抜けていきましょう!

レポート一覧