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第1期から4期が集結。Project180サミットを開催しました!

9月17日から3日間実施した第4期の集合研修①を終えて、その翌日、20日にProject180サミットを開催しました。今年の第4期で最後となるProject180の集大成の1つとして、現地参加26名、オンラインでは20名の方にご参加いただきました。

4年目にしてはじめての試みでしたが、終わった後には参加者から「毎年やってほしかった!」という言葉を頂き、予想以上に大盛況のイベントとなりました。このレポートでは当日ご参加頂けなかった方のために、ダイジェスト版をお送り致します。

サミットでは各期を代表して、1つのチームにProject180の修了生として当時を振り返って頂き、現在どのような活動をしているのか。そして集合研修①を終えて、Project180のスタートを切った第4期の参加者に向けて様々な角度からアドバイスを頂きました。

トップバッターは第3期の熊本企業次代リーダー「RKK熊本放送」の薛力夫氏と、県外パートナーの守田篤史氏のクロストーク。RKKチームが考えたアウトプットは、プログラム終了後にそのまま形になることはなかったそうですが、Project180を通して得たインプットの数々は今でも役に立っているそう。「企画趣旨とはやや違うかもしれないが、Project180ではインプットを大事にしてください」と、第4期の方に向けて肩の荷が降りるような優しい言葉を頂きました。

お互いがお互いを、同じ熱量をもって他者に説明できることの豊かさは、Project180を通して得た気づきであるといいます。自身のチームを「学校でいうとできの悪いこども。でも、学校に行くのだけはいつも楽しかった」と謙遜してみせるお二人。今でも電話したらすぐに出てくれて、何でも相談できるという仲睦まじい2人を見ていると、Project180で得られる人間チックな部分を垣間見た気分でした。

ところがメンターからは、飲み会がなぜ楽しいのかが説明できないままではもったいないという指摘も。しかし、Project180終了後、RKKと薛氏の変化にすぐさま気付いたのもメンターの方々です。第3期が始まった当時、社内の論理を説明することで新規事業を起こすことの難しさを説いていたRKKチーム。しかし、今日のトークで薛氏は「より良い放送を届けるために、なによりも優先すべきはスピードです」とおっしゃっていました。

プログラム期間中にその話はできていなかったそう。つまり、変化は確実に起きています。Project180の目標は変化のためのトリガーをつくること。同じメディアに関わる人間として、地方のメディアには頑張って欲しいと激励の言葉も。

第2期からご登壇いただいたのは、熊本で馬肉の小売を中心としたEC事業を展開する「利他フーズ」の猪本真也氏。そして県外パートナーだった小牧弘和氏と土居将之氏のお2人です。猪本氏から会社紹介とProject180での取り組み、そして近況についてお話しいただきました。当時からバチバチのできるオトコ、猪本氏は相変わらずの仕事っぷりで、プレゼンもきっかり10分文句なし。参加者一同圧倒されたあっという間の時間でした。

猪本氏の感化力。そのパワーには、県外パートナーの2人ともがProject180終了後に転職したという話も頷けます。小牧氏は文房具の設計からベンチャーに転職。土居氏は広告代理店から酒造へ。第2期全体としても転職者が多いのが印象的でした。お2人はつい7月に利他フーズ社内の教育プログラムの一環で外部講師として招かれたそう。社内評価も高かったそうで、チームの結束力には脱帽です。

メンター陣からは、「Project180の中でも異色の企業。デジタルデフォルトでビビるくらいの完成度を持っている」と言わしめるほど。ECとはいえ扱う商品はリアルな馬肉。しかしその開発プロセスはとてもアジャイル的で、小売における1つの先進事例と言えます。フィジカルなモノの開発に精通するメンターの山田遊氏と鈴谷瑞樹氏も、大いに刺激を受けていた様子でした。

プレゼンではきれいな部分だけを見せたそうで、実際にはたくさんの失敗を重ね、協力会社に迷惑をかけることもしばしばとのこと。後発の育成にも力を入れて、若い社員には挑戦と失敗を繰り返してもらい、その責任はすべて自分が取る。しかし最後には必ず結果をだすというのだから、最初から最後まで気合い入りっぱなしの猪本氏でした。

第1期から駆けつけて頂いたのは、くまもと☆農家ハンターとしてProject180に参加し、宮川洋蘭の取締役でもある宮川将人氏。県外パートナーとして併走した赤羽太郎氏と折茂彰弘氏にも現地にお越し頂き、メンターを交えた熱いトークを展開していただきました。もともと、第1期にはラン農家として参加していたものの、突然チームメンバーに「農家をイノシシから守らないといけない!」と熱弁を奮ったという宮川氏。ラン農家かイノシシか、そのどちらにフォーカスするのかを決めるところから始まったそうです。

当時は想いが先行し、人にきちんと伝えられる手段を持ち合わせていなかった宮川氏。ランに比べてイノシシの話は地についていなかったので、メンターからは「ランでいったほうがいい」と言われたそう。そこを押し切ってイノシシに決めたところ、今では情熱大陸にも出演するほどの注目ぶりに。第1期の最終成果発表会の1ヶ月後には事業会社を設立されました。自身がなぜイノシシにこだわったのか、なぜ会社として事業化する必要があるのかについてロジカルな説明で熱く語る宮川氏を前に、会場はどんどん引き込まれていきました。

課題解決は付加価値を生むことじゃない。マイナスをゼロにする活動であると、自身がチームメンバーとの議論を重ねてたどり着いた結論にメンターも感心したといいます。「なぜ?」という問いに対して、答え続けられる。そのしぶとさ、暑苦しさこそが宮川氏の価値であり、それ自体を自身が分かっていることで、事業そのものだけでなく宮川さんがやる意味、固有性が生まれます。今は宮川洋蘭がある戸馳(とばせ)島をまるごと体験の島にすべく目下さまざまな計画が進行中で、現地で参加した折茂氏はサミット前の午前中に訪れたそう。

「全然行きたいという気持ちにならなかった。2人がちゃんと入ってもう一度ナラティブを整理したほうがいい」

若林氏から冷静なツッコミが入り、会場は急遽、3年前を彷彿とさせるメンタリングタイムへ突入。「美味い魚は戸馳じゃなくても食える」「宮川さんが話す中山間地域のナラティブは入れたほうがいい」「食肉解体場を見に行く人はいないという前提は一度疑ってかかるべき」

プログラムが終わった後も、県外パートナーやメンター陣が親身になって、時に辛辣な言葉も浴びせながら真正面から向き合ってくれる。最後のトークこそ、今回Project180サミットを開催した甲斐があったと思わせてくれる非常に感慨深い時間となりました。

3期までの登壇者の話が終わるとサミットは懇親会へ。それぞれが懐かしい顔ぶれと話し、当時を振り返ったり、お互いの近況を報告し合ったりと和気あいあいとした様子でした。会場では第4期に参加している「有限会社親和商事」と「實取耕房」が早速タッグを組んで軽食を振る舞って頂きました。菊池のお米とゴボウを使ったボリューム満点、軽食にしては豪華すぎる大満足のお弁当を片手に会場は大盛りあがり。倉橋篤史さんと作って頂いた青柳の皆さん、美味しい素材を丹精込めて育ててくださった實取義洋さん、ごちそうさまでした!

懇親会の裏では、Project180ディレクターの田村大とメンターの若林恵氏によるトークが繰り広げられていました。第4期の集合研修とサミットを終えて、ときにはオンライン参加者を交えながら2人の話はイノベーションそのものの社会的な動向へ。Project180は今年で最後。4年目はまさに始まったばかりですが、今後の展開はあるのか。あるとすればどういったアップデートが必要なのか。ステークホルダーは誰なのか。イノベーションの搾取になってはいないだろうか。

宮川氏にとってのステークホルダーはイノシシで、利他フーズにとっては馬。ステークホルダーの概念はもはや人に限りません。そのことは2つの先人の例からも明らかです。新規事業を考えるためにはまず余裕が必要で、そのために必要な目先の業務効率化という意味でDXはある程度の意味を持ちます。いかなる企業も避けては通れないDX。しかしその本質は「ユーザー中心であること」と言い切る若林氏。

アイデアを出して終わっていては何も変わりません。それを実行に移し、変わり続ける意欲を持つこと。いかなる会社も、規模がどうであれ中にいるのは人であり、人が動き、変わらなければ変わるものも変わりません。イノベーションが必要な社会はまさにこれからです。Project180も4期が終わって終了ではありません。今回のサミットのような各期にまたがる、Project180の集大成となる次の企画が水面下で既に動き出しています。皆さん、ぜひ楽しみにしていてください!

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