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チーム活動レポート③ 株式会社サンワイーテック

2019年度のProject 180のそれぞれのチーム活動について「チーム活動レポート」シリーズでお伝えしていきます。3本目となる今回は、株式会社サンワイーテックチームの皆さんのふりかえりです。(取材は2020年1月に行いました)


エネルギー創蓄連携システムで地域コミュニティに貢献する

サンワイーテックは、設計から電気・空調設備工事も含めてワンストップで提供できる総合力が強み。 今回のテーマは、エネルギー創蓄電連携システムを持ち、コミュニティに貢献できる建物の企画。

口下手な職人集団

サンワイーテックの事業についてはどんな議論から始まったのですか?

松原: 弊社サンワイーテックの事業内容としては電気設備・空調設 備・建築工事業をやっています。建物全体の設計だけでなく、中の電 気設備工事の設計施工にも技術と経験があるので、ワントップで 提供できる総合的な設計施工技術があるところが強みです。

中村: 最初の集合研修の時に会社も訪問させていただき、サンワイーテックに設計施工の「総合力」があるのだなということはすぐにわかりました。主力事業がしっかりあって、むしろ現在の既存事業の依存度が高いのが課題といえば課題のようにみえました。
吉澤: 私が印象深かったのは、チームで議論するなかで「口下手な職人集団」というキーワードが でてきたのですが、高い技術を持った職人集団の強みをもっとうまく伝えられれば、お客さんや会社に加わってくれる若い人材 にももっとアピールできるのではないかという点です。

松原: そうでしたね。チームで話し合うなかで弊社の「技術力・総合 力という強みを生かし、組織課題を解決できる次の主力事業をつくる」ことが今後の長期的なミッションになるという結論に至りました。 弊社の現状や日頃感じていたことを整理しなおしたものではありますが、社外のサポートメンバーの皆さんとじっくり議論するなかでうまく 言語化できたと思っています。

 

エネルギーの創蓄電システムを地域のためにどんな事業アイデアを議論していたのでしょうか?

松原:はじめは、かなり壮大なアイデアを話していました。ホテルがつくりたい。介護施設がつくりたいというアイデアです。長期的に実現したいと考えていますが、まずはできるところからということで、マンションの大規模改築のコンサルティングや施工を行う事業を中心に議論していました。

中村: 実際にマンションのオーナーの方にお話をうかがったり、リノベーションをテーマとしたイベントに参加したりしました。市場はある のではないかという感触でしたが、私たちが提供したい「エネルギー の創蓄電システム」まで踏み込んだ改築に前向きなオーナーさんが多くいるかというとそうでもないということもわかってきました。

吉澤: オーナーの皆さんが改築時に「エネルギー」というさらなる付 加価値を加える投資をするかというと、そこまではしないというところ ですね。それともうひとつ、私たちは太陽光発電を想定してリサーチを 進めていたのですが、プログラム後半になって「実際にやってみるとど うなるのだろう」と数字的なところも含めて実現性を検討するところで、通常のマンションの敷地の大きさでの太陽光発電となると、どうしても発電量が少なくなってしまうというところが明らかになりました。 これでは収支がたたないなと。みんなが本業が忙しいなかというのは ありましたが、実現性については、もっと早めに確認しはじめるべきで した。

中村: そんな時にメンターの鈴谷さんから「長屋とか学校とか、面積 が広いところを考えてみたらどうだろうか」というアドバイスをいただき、学校や廃校を活用する方向に舵を切ることになりました。

 

今後にむけた課題はなんでしょうか?

松原: 廃校などの施設を改修し、エネルギーニュートラルあるいはプ ラスのエネルギーを生み出せる建物にしていくことによって、災害時のレジリエンスを高めたり、地域の人たちが活動しやすくしたいという建物のハード面でのイメージはできてきているのですが、実際にどこで、 どんな建物で実践するのかという実践の課題と、実際にやる場所が決まったとしても改修した建物のなかで何をするのか、つまりソフト面 での企画を詰めていかなくてはならないという課題があります。

中村: 地域にどう貢献するか、地域の皆さんとつくっていくというとこ ろはもっともっと考えなくてはならないところだと思っています。でも、考えているだけでは何も進ま な い の で 、信 頼 関 係 が 築 け る 地 域 や パートナーと一緒に、まずは1つ実践してみたいです。 吉澤:それもあって、福岡県が主催し、公共R不動産が企画運営し ている「公共空間逆プロポーザル* in 福岡」の参加の準備を進めて います。幸い一般枠のプレゼンターとして登壇させていただくことに なったので、引き続き3名のチームでProject 180で発表した内容を改 善し発表します。(イベントは2020年2月21日開催予定)

組織を越えたチーム活動からの学び

チーム活動が続いていくということですね。最後に、今回のチーム活 動からそれぞれどんな「気づき」があったか、教えていただけますか?

松原: 私は、改めて自分たちの専門以外にも目を向けなくてはいけないなと思うようになりました。プログラムに参加して議論するだけで、皆さんからいろんな情報が入ってきます。メンバーになってくれた 中村さんや吉澤さんも、いろんなつながりからいろんな情報を知っていて、今回の事業アイデアも自分だけ、社内だけでは、たどりつけないところまでいけたと感じています。

吉澤: 私も普段の仕事との違いを感じました。普段の仕事はミッションベースで、与えられた情報のなかで、やることや目標が決まっているところが大きいので、今回のように自由に議論して、見て、考えていくという作業が純粋に楽しかったです。

中村: 私は、今回のような取り組みを自社でもやってみたいと思いました。強みを考えたり、社外の人たちと積極的につながったり、オープンイノベーションが大事だと会社としてもいろんな活動に取り組んでいますが 、自分でもできることをやっていきたいです。

 

Team member
松原輝明(サンワイーテック)
中村浩之(サポートメンバー)
吉澤貴恵(サポートメンバー)

*「公共空間逆プロポーザル」とは、活用条件決定→公募→事業者の決定という従来の公共 空間活用プロセスを逆転し、民間事業者から自治体に向けてプレゼンテーションを行い、そのアイデアで遊休公共不動産を活用してもらいたい自治体は手を挙げるという、公共R不動産が企画運営をしている、遊休公共不動産と民間事業者のマッチングを図るイベントです。

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