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第4期のリモート研修①を実施しました!

10月9日の土曜日、第4期のリモート研修①を実施しました!昨年に引き続き、新型コロナウイルスの影響でリモートを併用してきたProject180ですが、全参加者がリモートで参加する完全オンラインでの実施は今回が初めての試みです。

9月17日から19日の3日間かけて行った集合研修が終わってからも、チームごとにSlackや定期的なミーティングを通して課題や意見を共有し、活発な議論を行ってきました。今回のリモート研修では前回の宿題を踏まえ、各チームに前回の研修終了後のアップデートを全体に共有していただきました。

午前中は「両利きの経営」をキーワードに、事業の幅を広げつつも、いかにして深く、そして鋭い視点から新たな領域へと踏み出していくのかについて、ディレクターの田村からレクチャーがありました。

新規事業の創出と聞くと、なによりもアイデアが先にあって、それをいかにして実現するのかについて考えがちです。これに対してProject180では、前回の研修から一貫して「自社のステークホルダーは誰なのか?」を各チームが議論を深め、考えてきました。

今いる顧客の新しい行動を考える。顧客やユーザーに限らない、未来のステークホルダーが持つ価値や習慣を想像する。

未来洞察ではアイデアやデータ先行の思考を「forecast」といい、身近な例だと天気予報が挙げられます。しかし、新規事業の創出においてProject180が重要視していることは、未来は現在の延長線上にはないという捉え方です。forecastに対して「foresight」や「アウトサイドイン」という言い方をしますが、ここで大切なことは、出発点を現在ではなく未来に置くという発想です。

10年後の社会や経済のあり方を想像し、未来に必要な能力やスキルを考えてきてもらうという前回の宿題は、こうした未来起点の思考を養うためです。現在と未来の両方に対して解像度を上げて自社を捉え直すことで、そのギャップを明らかにし、どういったアクションを起こせばよいのか、そのアイデアについて検討を重ねました。

昼休憩を挟んだ午後の部では、午前中に各チームが議論した現在と未来とのギャップについて発表し、意見を共有しました。各社がそれぞれに特有の事業とステークホルダーを抱え、10年先の未来でさえ見通すことは、変化の激しい現代を生きる私達にとって簡単なことではありません。

しかし、各社が考える現在と未来とのギャップも、中には共通の未来を想定して考えられる場合もあります。「テクノロジーと情報のオープン化」「経済的な成長から持続可能な社会と仕組みづくり」「人やまちの流動化」など、すでに起こりつつあるものもあれば、「信用や信頼のデータ化」「ロボットによるコミュニケーションへの介入」といった、まだまだ確定的ではない、課題の多い未来もあります。

「多様性が立ち止まる瞬間が来るんじゃないか?」「IT化が進むと今よりもっと忙しくなるのでは?」

多様性やテクノロジーによる自動化、効率化が当たり前となりつつある今の社会にあって、真逆とも言えるような声も聞こえてきました。しかしそれは、今の当たり前ではなく未来を見据え、リアリティをもって事業を考えれば、ありうる未来の1つでもあります。

多様なステークホルダーを抱えている企業であればあるほど、誰に力を貸したいのかを考えることは一種の決断を必要とします。現在のビジネス・パートナーに固執することなく、未来を起点に新たな領域を開拓するためには、前回の研修で深堀りしたステークホルダー、そして今回のギャップ分析が力を発揮します。

事業ビジョンとは向かいたい方向であって、その途中で数々の挑戦をした結果、意図しないサービスやプロダクトが生まれる可能性もあります。特定のサービスやプロダクトそのものに対して評価を下すのではなく、あくまでその先を見据える。映画やアニメーションがただの娯楽ではないように、その裏側では誰かが望んだ未来、未来におけるステークホルダーがいるはずです。

一足飛びに未来へと向かう手段はありません。しかし、方向を定める必要があります。軌道修正をするためにはアイデアを形にする必要がありますが、そのアイデアが良いかどうかが問題にはなりません。

「自社の事業ビジョンを定める」という次回までの宿題は、これまでの研修で議論してきた内容を改めて整理する必要があります。次回は熊本県人吉地区での集合研修。度重なる災害を乗り越えて、土地の持つ歴史や価値の再考を迫られた方々から、貴重なお話を聞く機会も用意しています。

ようやく夏が終わったかと思えば、まだまだ暑い日が続きます。Project180も前半戦がいよいよ終盤。残り3ヶ月、更に磨きを掛けていきましょう!

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